ラブリー
第4章 la vie en rose 2
にのが明るい声で応えてくれる。
「元気だよ!ね、どした?
なんかあった?」
ううっ。
泣きそう。
「ちょっと声が聞きたくてさ!
元気そうで安心した。
頑張ってるな。」
俺も努めて明るく話しかけた。
「もーね。慣れないことばっかで大変。やっぱ言葉も通じないしさ。でもなんとかやってるよ!通訳さんもいるんだけど監督が俺に直接語りかけてくんだよ。それがなんとなく言わんとすることがわかる時もあってさ。ジェスチャーやフィーリング?ふふふっ。」
「そーなんだ。やるじゃん。」
「ふふ。ホント面白いよ。」
にのが笑いながら話すのに自然と笑みが溢れて。
教えてくれる内容に向こうの撮影風景が漠然と浮かんだ。
「にの…応援してっから!」
「おう!ありがと!」
じゃあね、と電話を切ろうとして、もう一度声をかける。
「なんかあったらすぐ言ってこいよ?メールでも電話でもいいから。」
「ん。なんだ、やけに優しいな。」
「頼りにしろって言ってんの。そばにいてやれないけど…いつでも聞いてやるから。」
「…ありがと。」
「あとさ…早く…帰ってこいよ!
って無理か、ははっ、」
「…ん。」
「あー…
会いたい!」
勢いよく言い放った俺の精一杯に、にのも同じ言葉を言って切られた電話。
「俺も会いたい!」