ラブリー
第4章 la vie en rose 2
あれから。
順風満帆なお付き合いの中、何度も身体を重ねて愛情を深めている。
にのはというと、もうクッションや枕を抱きしめていた頃が懐かしいと思うほど。
行為の時ありのままの自分をさらけ出してくれている。
声も感情も。
今日も幸せな気分で眠りにつく間際。
気になってたことを問いかける。
「ちょっと聞いたんだけどさ。」
「んー?」
腕の中の可愛い恋人が胸に寄りかかり返事をしてくれた。
「もしかして…またハリウッド?話きてる?」
恐る恐る耳にした話を確認する。
んふふ。
なんでか笑いだしたにの。
「お前の耳にも入ってくるんだぁ。」
「え?マジなの?」
その受け答えに動揺しまくりの俺。
にのの顔を覗き込んで茶色い瞳を見つめた。
「俺もうハリウッド…いいや。」
「は?」
「ハリウッドっていうか海外の仕事はもういい。そう上の人にも言ってある。」
「オファーがあったのは本当だったんだ。」
「うん、まだぼんやりとした企画っていうか、先の話だけどきてたみたい。」
それはきっと誰もが羨むオファーに違いない。
それを蹴ったのか?
「お前…それでいいのか?」
俺には想像もつかない話だけど心配で。
にのの真意を聞きたいと思った。