
ラブリー
第6章 シリウス
さっきからにのの顔が浮かんだ。
あいつ今なにしてんのかな、って。
俺が会いたい人。
俺の好きな人。
…あー、会いたくなってきた。
にやけていたに違いない。
ふふ、いーの。
にのを思うと笑みがこぼれる。
彼は淡々と話した。
「俺、次に好きになった人には絶対ちゃんと言うって決めてるんだ。」
目の前の料理を箸で口に運びながらぼんやり聞いてる。
カッコいいんだから、そんな意気込まなくても普通に告ればいいのに。
そんな消極的だった?
そんなことを思って何度か口を挟もうとしながら。
俺は言えない。
好きって言えるなんていいなぁ。
って、またにのを思っていた。
その時、彼の言葉に一気にこの場に引き戻された。
少し小さな声だったけどしっかり耳に入ってきたんだ。
「俺さ…
男が好きだったんだ。」
「へ?」
「え?」
俺に続いて翔ちゃんも驚きを隠せない声。
「あー、違うね。
好きになった人が男だったんだ。」
「マジ。」
「言えなかったわけ。そりゃそうだろ?」
わかる。
わかるよ。
「少し前に結婚するって言ってきて。あー、とうとうこの日が来たかって。」
酔いに任せてぶちまけたいのか彼はまたお酒を頼んだ。
