ラブリー
第6章 シリウス
その日の帰り。
俺が声をかける前にこいつが一緒に帰ろうと誘ってきたのに驚いた。
相葉くんちか俺んちに行くもんだと思ってたから家の近くでマネージャーの車から降りようと言われて不思議に感じてはいたんだ。
たまに歩く遊歩道。
時々気分転換に散歩…って歩いて帰った。
相葉くんと一緒に。
夜は人はまばらで。
相葉くんは歩む速度を緩めてぽつり話し出した。
「にの。ごめんね。」
「なにが?」
努めてなんでもない風に返事をして次の言葉を待った。
今夜は月が明るい。
となりの相葉くんの顔がちゃんと見える。
最近は盗み見てばっかだったしな。
この角度からの相葉くんが好きだなぁ、とか思ってた。
それはなんでもないいつもの横顔。
いつもこの位置…となりにいるからね。
「忘れてね、って言おうと思ってたんだけど…
ごめん…言えない。」
「え?」
「全く逆のこと、言うけど…
俺がにのを好きなの、忘れないでね。」
思い詰めた表情ではなくどちらかといえば清々しい顔の相葉くん。
この人を見てる俺はどんな顔をしてるんだろう。