ラブリー
第6章 シリウス
「じゃあ帰った方がいいのか。」
「…そうだね。
でもホントは帰んないで…とも思ってる。」
…可愛いやつ。
「俺もわかんない。
んー、もー、めんどくさいから泊まるよ?」
「…うん。」
嬉しいんだか、困ってんだか、複雑って表情がまた可愛いと思ってしまう。
「じゃ、もし襲われても文句言わない。言えない、ってやつだな。」
「え?」
「女の子の場合の。こういうの、同意ってみなすでしょうが。」
「お前、なに言ってんの?」
きょとん顔で俺を見てたのがクシャっと笑った。
「なんで笑うんだよ。」
「にのってバカだね。」
あはは、って笑うのが嬉しくて。
つられて俺も笑った。
そんで別々に寝ることもなく。
襲われることもなく。
寝るころには、ちゅーくらいしてもいいか、なんて思ってる俺に背を向けて眠るこいつ。
ほんとに俺のこと好きなの?
ちゅーとか抱きしめたいとか思わないわけ?
この人のいう、“俺を好き”ってのは、ますますわからなくなるばかりだ。
ついでに。
友達としてそばにいたいと思ってるのに、ちゅーくらいはしてもいいか、なんて思考の自分ももっとわからない。