ラブリー
第6章 シリウス
自分の気持ちなんてわからないまま。
嘘みたいに過ぎていく忙しい毎日。
まだ少しぎこちなさの残る相葉くんとはなんだかんだ仲良く楽しくやれていて。
このまま。
今までの関係がやっぱり一番だって。
色々考えてはみても最終的にはそこへ辿り着く。
もしかすると相葉くんも今はそう思ってるんじゃないかと思えてきていた。
一般的なごくごく普通の男が異性に対するような想いを、あの人が俺に抱いているように見えないっていうか。
俺に対して…
その…
先を望んでないっていうの?
男ならキスしたりその先をしたいって思うよな、って。
そういうのをしてこないっていうのが。
そこを気持ちを計る材料にしたらいけないのかもしれないけどさ。
そう思う自分がいた。
付かず離れずの距離。
これでいい。
*****
今日も仕事が終わった。
ちょっと疲れが溜まってんな。
だるい体を早く休ませたくて、でもいつもより足の運びも遅いけどなんとか他愛もない話をしながらマネと車に向かう。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。」
「もっと早く終わったらマッサージに行くんですけど…」
「いや、平気。明日も残ってたら頼もうかな?」
わかりました、と言って、こちらをうかがい見てなんとなく手を貸すのも違うと判断した彼は俺の荷物を持ってくれた。