ラブリー
第6章 シリウス
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目まぐるしく過ぎる毎日の中でもこころのどこかに、にのがいた。
俺が胸の内を明かしても、普通に接してくれてる。
そのあと変に意識してしまった俺にあえてひっついてくるみたいに。
距離を置かれても仕方ないはずなのに。
そういうにのの優しさとか、俺に対して“大丈夫だよ”といってくれてる感じが伝わって今までより深く愛情を傾けている。
そばにいるとうれしくて、もっと近づきたいと思う反面、こうしてそばにいれて、幸せだな、って満足する自分がいた。
「その後どう?」
仕事帰り翔ちゃんに声をかけてもらって少し飲んだ。
あとからリーダーも来るって言われて意味もなく緊張。
だって二人が“そう”だって知って初めて外で会う。
プライベートの二人。
そんなの目のやり場に困るって。
そんな俺の気持ちなんてつゆ知らず、翔ちゃんは俺とにのの様子を聞くことに夢中。
でも残念ながら進展なんてしてなければ色っぽい話もなくて。
それを聞いた翔ちゃんは、お前のペースあるからね、と前置きしたあとで、ちょっと意味深に付け加える。
「でもそんな悠長なことしてて、にのが誰かのものになったらどうするよ。」