ラブリー
第6章 シリウス
部屋に入るとさっきまで俺が手を引いてたのに逆転。
相葉くんが俺の手を引いてソファへと座らせられた。
相葉くんはその下にペタンと座って俺の手を改めて握り直す。
それぞれの手のひらを優しくぎゅってして。
俺の名前を呼んだ。
「?」
なんだよ?
そう目でこの人にいう。
「あのさ、ちょっと…お願いっていうか…
抱きしめていい?」
返事をしないでいると、
「ちょっと…ね?」
もう返事を待たずに手を離すとふんわり抱きしめた。
中腰でなんか変な体勢。
腕の力加減とか髪に顔があたる感じとか。
全部が心地よくて。
されるがままの俺をどう思ってんのかな。
「にの…」
「ん?」
「ごめん。」
「なんで謝るの?」
「だって、さ、」
強引だと思ってんのかな。
俺がリアクション起こさないのも悪いよね。
焦らしてるつもりはない。
もうわかってるんだ。
だけど俺も確認させてもらうよ?
相葉くんの腕を緩めるように身じろぎしたら視線が合う。
離れたことを悲しむような目。
違うよ?
スゥッと息を吸い込んでまた視線を合わせる。