ラブリー
第6章 シリウス
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にのが泣いた。
どうした?
今日なんかあった?
オロオロしてしまって、にのの頬の涙を拭うだけ。
にのは、そのまま目を閉じてしまった。
「にの?なんかあった?」
「ううん、なんにも。」
「…どうしたんだよ。」
さらりとおでこの上の髪の毛をどけるように撫で上げた。
赤ちゃんみたいになった。
おでこを出してるにのが可愛くて、そこに口づけた。
目を閉じたまま、にのが言葉を紡ぐ。
「キスして。」
ちゅう
にのの口を食むように長いキスをした。
すぐ横で手を付いて、にのの言わんとすることを汲み取ろうとするんだけど。
「終わり?」
もっとキスが欲しいのかな、って沢山キスした。
「…触らないの?」
その発言に心臓がドキンって鳴った。
「触りたくないの?」
「俺にはそんな気になんない?」
…
「いいの?」
そんなことしか言えなくて。
黙ってるにのに。
目をつぶったままのにのに。
体重がかからないように手を付いて跨った。
にのの唇に俺の唇を重ねて心の中で数を数える。
ゆっくり10まで数えたら舌を差し入れて、ぐるんとひと回り口の中をなぞったら、ぞくぞくする感覚が襲ってきた。