
ラブリー
第2章 sly
「ナナコちゃんって?」
すごいよねー。
真剣に台本に目を通してたはずなのに。
すかさず聞いてくる松潤。
チラリ…
楽屋の隅。
にのを見ると特にこっちを気にするそぶりも見せずに着替えてる。
順番で雑誌の撮影中。
松潤が即反応したんだ。
言っちゃ悪いが、それなら確実に翔ちゃんもにのも気づいてる。
そして、その上で知らんぷりしてるってことだ。
例えば…松潤がこの場面の対象だったら、翔ちゃんだって、にのだってガンガンつっ込んで聞いたよね?
「それ誰だよ!」
「なになにー?」
とかさ。
なんとなくみんなには知られてるとは思ってたけど。
意外とデリケートなわけ?
俺とにののこと、って。
「ナナコちゃんって…モデルの?」
!
ビンゴだよ!
めちゃくちゃ動揺してるくせに平然を装って松潤に応える。
「あ、そうだよ。松潤、知ってるの?」
「うん。今、売り出し中の可愛い子だよね。なに?相葉くん知り合い?」
「少し前に飲み会でね。」
「そうなんだー。どんな子?いい子?」
「うん。いい子だよ。綺麗なのにお高くとまってなくて。」
「マジ?俺もお近づきになりたいぜー。」
そんなやり取りを、にのはやっぱり黙って聞いてる。
