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ラブリー

第2章 sly



何度か服を引っ張ってると、

「あとで。」



「にの?」

喋ってくれたから嬉しくなって手を取ろうとした時。

「あとで!」

「はい!」

強い口調にビビって手を引っ込めた。

翔ちゃんは堪えきれず、ぷっ、と吹き出した。

後ろで二人も笑ってるし。

なんだかバツが悪いやら、はい!って言っちゃってる自分もおかしいやら、俺も笑いたくなってきた。

でも我慢我慢。

ここで笑ったら、にのに怒られるに決まってる。

下手したらこの後会ってくれようとしてるのさえ、なくなってしまいかねない。

ん。

口元を引き締めてるとスタッフの人が楽屋をノックして、収録再開の声がかかりゾロゾロと楽屋から出て行く。

立ち上がる翔ちゃんの手をにのは掴んでそのまま腕に捕まって歩き出した。


ごめんな


そう口を動かして翔ちゃんが俺を見るけど…

なんだよ、その顔。

デレたままの翔ちゃんの顔を見逃さなかった。

その後は一貫して翔ちゃんのそばにいたにの。


あとで


って言ったよな。

俺んちに連れて帰っていいのかな。

楽屋で話ってことはないよね。

…とにかく引っ張ってでも一緒に帰ろう。

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