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ラブリー

第3章 la vie en rose



「なんで目つぶらないの?」



甘くもなんともないにのの言葉は俺をガッカリさせた。

ガッカリ?

なにを期待してんだ?

「はぁ?
俺が言いたいわ!」

「なにが?」

「なにがじゃねーよ。
お前だって目開けてるじゃん!
だからいつも目が合うんだろ!」

ふふふ、と笑ったにのは、

「じゃー、目、閉じて?」

上目遣いの小悪魔感たっぷりで俺を見た。

「…」

「?」

「はい、って、閉じるかよ、
ばか!」

ふふふ、それは残念、と俺に向いてた体を元の位置に戻してスポンと座り直した。

もたれかかる体重にうれしさとせつなさとがごちゃ混ぜの俺。


油断したら髪の毛を撫でてしまいそう。


「にの?

…なんで?」

「んー?」



なんでこんなことするの?



言いたいことは言えない。

さっき自分が甘い言葉を期待してたのに気づいたばっかじゃん。

「なんでもない。」

慌てて言った俺の後にすぐにのが言った。

「寂しいから、かな、」

俺の頭の中を読んだように、答えてくれたのは、

甘いのか、

そうじゃないのか、

俺にはわからなかった。

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