ラブリー
第3章 la vie en rose
さみしいから
そっか。
にのは寂しいのか。
今が寂しいの?
今までも寂しかったの?
さっきから、にのの頭を見ながら無意識に手が伸びそうになっては、ダメダメ、って引き締めて。
にののこと、好きだって言って、この髪の毛をさわれたら…
どんなにいいかなんて思っちゃってる自分がいる。
さみしいよ
早く帰ってこいよ
なんて言ってキスをする
淡い甘い世界に浸ってたのに現実に引き戻された。
「次どーぞー。」
「「はーい。」」
「いい返事。」
リーダーと入れ替わりでヘアメイクに行こうとすると携帯に連絡があったのか、にのが先にどうぞと手で合図した。
「じゃあお先に。」
「いってら、」
「おー。」
にのとリーダーに見送られて楽屋のドアを閉めた。
なんでだろう。
リーダーだよ?
にのと二人きりにするのが嫌だなんて思ってしまって。
俺は重症だ。
にののこと、本気だ。
にのが好きだ、と実感すると途端に虚しくなって胸の中は空っぽ。
そばにいなくて寂しい。
認めると寂しさが倍増してしまう。
好きって、苦しいし寂しいし。
なんなんだ。