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ネットに落ちてた怖い話

第59章 アケミちゃん

そうこうしているうちに電車が駅に着いた。

アケミちゃんはまだ電話をしているが、チラチラとこちらを見たりもしているのでうかつに動けない、目が合うたびに背筋に寒いものを感じながらも、愛想笑いを浮かべながらタイミングを伺うと、発車の合図の音楽と同時に

「ごめん、ここで下りるから」

と一方的に言って電車を駆け下りた。

案の定、アケミちゃんは反応できず、電車はそのまま発車し行ってしまった。

ひとまず難を逃れる事ができた俺は、とんでもないものに出会ってしまった
と思いながらも、さてこれからどうしようかと考えた。


Aのアパートまではまだ結構距離がある、というかまだこちらに来て2ヶ月も経っていない俺に、ここから目的地までの道順など解るわけもない。

かといって次の電車に乗った場合、次の駅でアケミちゃんが待っていたら余計にヤバイ。

仕方がなく、俺はAに電話をして後で事情を話すからと住所を聞き、駅を出てタクシーでAのところまで向かう事にした。

アケミちゃんにもう一度出会うリスクを考えたら、千数百円の出費のほうがずっと良い。

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