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ネットに落ちてた怖い話

第60章 巣くうもの

「あれは私たちを守ったんじゃないし、Bのことも大事だとかじゃないと思う。ただ、ドアとか家が壊れたら困るでしょ。だから」

何とかした方がいいのか、と思っても、Bは本気では霊を信じていないようだったし、普通の霊じゃないから払えるとも思えなかった。

だから放っておいたけど、自分は近寄りたくなかったんだ、とAは言った。

ただ、『それ』がBを深刻な危険から守っているのは知っていた。

そして、あの日俺らが本当に危ない場所に行くと感じて、止められないならBの中に居る『それ』に守ってもらうしかない、と考えてついてきたのだという。

「あれが守るのはBだけだからね。少しでも離れたら、井戸から来てた方に憑かれて人生終わってたよ。俺君も、他の皆も」

言われて背筋が寒くなったのを紛らそうとして、

「……でも、何だろうな?Bについてるのって。結構よくないか?結局守ってくれるんなら」

そう言ったら、Aは羨むような蔑むような複雑な眼を向けてきた。

「あのね俺君。お腹に住みついた寄生虫が孵化するまでは守ってくれるって言ったら、それって嬉しい?」

「……」


……何となく、言いたいことが解った。

Bに巣くってるモノは、とにかく自分だけの都合でBの中に居座ったり顔を出したりするわけで、ひょっとしたらBから何かを奪ってるのかもしれないわけで。

いつか自分の都合でBをぶち破って出て行ったりするかもしれないわけで、その時には周りにも影響するかもしれないわけで、しかもBは本気で何ひとつ全く気づいていないわけで。

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