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ネットに落ちてた怖い話

第60章 巣くうもの

「俺君、C君、動ける?逃げよ!!速く逃げようよ!」

Aが叫んで、俺らは必死で身体を動かして車へ向かって、何とか乗り込んで逃げ出した。

Cがハンドルを握る車の中で俺が振り返ったとき、もう何も見えなかったけど、金属音だけは結構長いこと耳に残ってた。


その後。結局帰り着くまで熟睡こいてたBに

「何も出なかったから起こさなかった」

と説明して帰らせた後、皆で震えながら明け方まで飲んだ。


数日後にAを捕まえて経緯を聞いたら、げんなりした顔でいろいろ教えてくれた。

あの古井戸がマジで危ない本物だったのは予想通り。

「家の正面に居る分には大丈夫だけど、裏に回って井戸まで見たらダメ」

だそうだった。

問題は俺らを助けてくれた妙な影なんだけど、Aは凄い嫌な顔で、

「あれはBの……何ていうか、ついてるものなの」

と言った。


AがBを避けてたのは、嫌いだからじゃないそうだった。

ただ、Bに纏わりついてるものがいて、それが凄く強くて薄気味悪いものだったんだと。

で、初めはBに取りついてる霊か、と考えたがどうしても違和感があって。

ある日、Bから出てくる『それ』を見て、不意に気づいたんだそうだ。

『それ』は『Bの中』にいるんだと。

「……Bがあれのいる世界に繋がってて出入り口になってるのか、それともB自体があれの棲む場所なのか、どっちかだと思う」

Aもよくは解らないようで、とにかくそれはBから出てきてまた戻っていくんだと言っていた。

他の霊的なものは全部Bを避けるそうで、多分あれのせいで近寄れないんだとも。

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