こうするしかなかったんだ
第11章 期間限定同棲
「大事に至らなくて本当に良かったわ」
壱聖の母はほっとしている様子だった。
「壱聖から事情は聞いておりましたから、三浦さんももう顔をあげてください」
葉月の母はやっと顔をあげた。
「お母さん…ごめんね…」
葉月は痛いくらいの力で母に抱きしめられると、安心からか泣いてしまっていた。
「よくやったよ、壱聖!」
姉にバシバシ叩かれている壱聖。
「先輩…ごめんなさい。それから先輩のご両親も本当にすみません…。せっかく初めてお会いしたのにこんな形で…」
「大丈夫よ、葉月ちゃん。千聖から話を聞いてたし、どんな形であれ会えたのが嬉しいわ」
壱聖の母の優しさが染みる。