こうするしかなかったんだ
第4章 初めてのお泊まり
「葉月のお母さんは料理上手だよね!」
「うん、ありがとう。お母さんも姫葵が食べてくれるの嬉しいって」
「お礼しなくちゃと思ってさ、もうすぐ母の日だし、コレ渡してくれない?」
手渡された小さな包み。
「ハンカチなんだけど…喜んでくれるかな…」
こんな不安そうな姫葵初めて見た。こんな顔もかわいいなんてズルイなと余計なことを考えてしまう。
「ねぇ姫葵。うちのお母さん姫葵に会いたがってたし、直接渡さない?」
そう言うと花が咲いたみたいな笑顔になる姫葵。
「行きたい!」
「じゃお母さんにいつが良いか聞くからそしたらLINEするね」
「うわぁ楽しみ!私友だちのおうちって初めて!」
「私も呼ぶの初めてだよ」
それからすぐお母さんから返事があって、今週末に泊まりにおいでって返事があった。
「うそ〜!絶対泊まる!!」
姫葵は跳び上がりそうなほど喜びを爆発させている。
こういうふうに気持ちを表現できるところが素敵だと思うし、私もそうしてみたいなと思う。
私はやっぱり姫葵がそんな酷い子に思えなかった。