こうするしかなかったんだ
第4章 初めてのお泊まり
姫葵はずっとウキウキしていて今にもスキップでもしそうな感じだった。
「あれ?三浦…?」
突然男の人に声をかけられる。葉月には聞き覚えのある声。振り向きたいようなしたくないような、逃げ出したいような衝動に駆られる。
「やっぱ三浦だ、久しぶりだな」
うなづくしかできない葉月を見て、姫葵はニヤニヤしている。
「葉月と同じ高校の松田姫葵です。えっと…」
「あ、俺は相田奏太。三浦とは小中同じなんだ」
葉月は見逃せなかった。
彼が姫葵を見たときのハッとした表情。それからほんのり頬が赤くなったこと。
姫葵に初めて、何とも言えない感情を抱いたことに戸惑ってしまった。
「今から葉月のうちにお泊まりなんです。あ、良かったらLINE交換しましょ〜!」
みるみるうちに奏太と姫葵は連絡先交換していた。
私は9年一緒にいてもできなかったことを、姫葵はあっという間に飛び越えていった。