こうするしかなかったんだ
第4章 初めてのお泊まり
部屋に入ると姫葵はやっぱり聞いてきた。
「奏太くんって葉月の好きな人なの?」
好きかと聞かれるとよく分からない。けど、好きだったんだろうと今では思う。
「葉月、好きな人いないって言ってたのに〜…。奏太くんかっこいいよね♡」
葉月は何も答えず、本棚の本を並べ替えたりしてみる。
「もう…葉月ってば!」
腕を掴まれて本棚の整理をやめる葉月。
「あ!卒アル見たい!」
良いよも言ってないのに本棚から取り出して見ている姫葵。
「葉月かわいいね、あぁ!隣奏太くんじゃん!ねぇ、どうゆうこと〜?」
「たまたまでしょ」
そんなの偶然なのに。
それに隣で写ってるのはその写真だけなのに。
その時姫葵のスマホが鳴った。
「奏太くんだ〜♡」
嬉しそうにしながら届いたメッセージを読んで、なぜか笑顔が消えた。そしてスマホを鞄にしまった。その時、姫葵が舌打ちしたのを見て違和感を感じたけど、葉月には舌打ちの理由を聞けなかった。
空気を変えるように姫葵は別の話題を持ち出した。
「葉月のお母さんって本当おもしろいね〜!私、さらに大好きになっちゃったよ」
「そう?ありがとう。姫葵に会えて嬉しそうだったな、お母さん」
「ハンカチ、食事の時で良いかな…」
「うん、良いと思うよ」
それから2人は宿題をしたり、おしゃべりをしたりして過ごしたけれど…お互いの心中は様々で上の空だった。