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こうするしかなかったんだ

第4章 初めてのお泊まり

《姫葵side》



『さっきはどうも。初対面でこんなお願いするのもなんだけど、三浦の連絡先教えて欲しい。』


この内容に言いようのない怒りが込み上げ、思わず舌打ちをした。葉月には気付かれてないようだ。

自分で連絡先聞けないような情けない男は葉月には似合わない?

…違うな…。

私が許せないのは、私が居ながら葉月を選び、私をキューピッドにしようとする奏太が許せない。

私を見て赤くなったじゃない!

それなのに私が葉月の引き立て役?

ありえない。ありえない。そんなこと絶対にありえない!!


どうして私はこんな風に思ってしまうんだろう。

これまでいろんな人に嫌われてきたのは知っている。理由も分かってる。噂になってることもほぼ事実。

だけど葉月はやっとできた友達なのに。

大事にしたいのに…大好きなのに。傷つけたくないのに、ずっと仲良くしてたいのに。

苦しい…助けて欲しい…

葉月…ごめんね…本当にごめんね…

それでも私は…自分を止めることができない。

きっとこのお泊りから帰る電車で、ううん、この家を出た瞬間から。奏太をおとす為の計画を立てているんだろう。

葉月の好きな人が、簡単に別の女におちないか確認したかった、なんてまるで葉月のためっていうような言い訳を用意して。







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