こうするしかなかったんだ
第5章 告白
先輩も顔が赤い…夕陽のせい?
「あんまり葉月ちゃんが避けるから気になっちゃって。グループ行動だから、オリエンテーリング終わってから言おうと思ってたんだけど…」
どうしよう…なぜかその先を期待してしまう。
「俺は葉月ちゃんが好きだよ」
顔を上げて先輩の顔を見ると目が初めて合った。そこにはいつもの自信満々な先輩じゃなくて、不安な顔をしている先輩がいた。
「ごめん。迷惑だよな、急だし…」
「私も…」
「え?」
もはや何が起こっているのかよく分からないけど、さっき気合入れたほっぺがジンジン痛むからきっと夢ではないはず。
先輩は私の手を取り、手を繋ぎ少し距離を置いてベンチに座る。
ちゃんと、どうにかして気持ちを伝えたいけどうまく言葉にできなくて、繋いでる手をギュッてして合図を送ると先輩も握ってくれる。
やっぱり夢なんじゃないんだろうか。
ベンチの足をつま先で蹴ってみる。
「イタイ!」
夢じゃなさそう…てゆうかめちゃくちゃ痛い。
「どうした?大丈夫?」
「あ、足ぶつけちゃって…」
大したことないのに保健室へ連れて行かれる。
靴を脱いでみると爪が少し欠けて血が滲んでいた。
浮かれすぎて力加減ができなかったなんて。
「足もだけどほっぺもどうしたの?!」
先生はまさかと言うように先輩を見ている。
「違います!これ、自分で気合入れてて…」
ため息つきながらアイスノンを渡された。