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こうするしかなかったんだ

第6章 盲目




なんとか順調にポイントを発見していき、あと少しのところまで来た。

元々運動をしてこなかった葉月はみんなのペースに付いていくのに必死だった。

もう前を向いて歩く気力がないから、終始下を向いてしまっていて、ハグれたことに気付くまでかなりの時間を要していた。

誰の声もしない、森の中。

木々が風で騒ぐ音が何だか怖くて顔を上げると、周りに誰もいない事に気付いた。

どうしよう…

そんな声も出せないほど疲れ切っていた。

とりあえず座れそうなとこに座り、携帯を探す。

でも、オリエンテーリングだから携帯は持参禁止で持っていなかった。

はぁ…ついてないな…

ウロウロするのは得策じゃないし、疲れてるのもあり全く動く気にならない。

じっと座って目を閉じると、風の音とか鳥のさえずりとかが音楽に聞こえてこないかと思ったけど、夕方だからかカラスの鳴き声ばかりでかえって怖くなる。

リュックを下ろし飲み物を取ろうとしたら、リュックごと転がっていってしまう。

嘘でしょ!って叫びたくなったけど、喉がカラカラで声が出なかった。




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