こうするしかなかったんだ
第6章 盲目
帰り道。
壱聖は葉月を送って行く事にした。
途中にある公園に寄り、ベンチに腰掛けた。
「葉月ちゃん。今日は本当にごめん」
頭をさげる壱聖に慌ててしまう。
「私が悪いんです…本当すみませんでした…」
葉月は自分の方が悪いんだと言うように、壱聖よりも頭を下げた。
「きりがないから謝るのはやめにしよっか」
壱聖が葉月の頭を上げさせてくれる。
「正直、すっげー心配した。見つけた時は安心して腹が立った。抱きしめたかったけど、彼女に先にやられて悔しくて、また腹がたった」
一気に話す壱聖。葉月はまだ壱聖の顔を見る事ができないから、まだ怒っているのかと不安になる。
でもそれが間違いだってすぐに分かった。
壱聖の手が痛いくらいの強さで葉月の腕を掴み、自らに引き寄せる。葉月は自然と壱聖の胸に収まる。壱聖の鼓動の早さに、壱聖の想いが伝わる。
「私、浮かれてたんです…先輩のことばっかり気にして…周りが全然見えてなくて…」
そう言うと壱聖は体を離し、葉月の顔を覗き込むように見てくる。キスできそうな距離だけど逃げる事もできない。
「そんな風に言われたら…もう怒れないね」
苦笑いする壱聖も素敵で。
葉月はドキドキしっぱなしだった。