こうするしかなかったんだ
第7章 夏のはじまり
「松田さんは葉月ちゃんに彼氏ができたこと知らないの?」
「うん、言ってない」
そう言うと咲希は安堵の表情を浮かべた。
「私、松田さんと中学一緒だったの」
「うそっっ!」
初耳なので驚く葉月。
「接点全然なかったし…まぁ噂はすごかったけど…。てことは、あの奏太くんが今葉月の好きな人と思ってるのよね、松田さん…」
「分からないけど…。もしかしたら姫葵、好きになったのかもしれないし」
「先輩は?先輩は松田さんに会ったことある?」
「うん、オリエンテーリングで一緒に探しに来たから…」
「うそ!!」
心配なのか、眉毛が下がりハの字になっている咲希を見て葉月は笑う。