こうするしかなかったんだ
第7章 夏のはじまり
夏の暑さが大嫌いだった。
こんな暑いのにベタベタくっついて歩いてるカップルが熱苦しくて鬱陶しかった。
でもそれはただ羨ましかったんだ。
今はただ、少し前を歩く早川先輩の手に触れたくて、ずっと手だけを見て歩いている。
今日は近くの神社でお祭りがあり、気合を入れて支度をした甲斐もあり、かわいいって言ってもらえた。
欲がどんどん際限無く溢れてきて、今はそれが苦しい。
ゆっくり歩いてるのに息があがってしまいそうになる。
そんな葉月を心配そうに立ち止まり、振り返る壱聖に気付かず葉月は思い切りぶつかる。