こうするしかなかったんだ
第7章 夏のはじまり
沈黙を打ち破るように花火があがる。
「キレイ…」
「うん、キレイだね…」
自然と葉月の口から出た言葉に壱聖は答えた。
壱聖はベンチに置かれた葉月の手を握り、空を見上げるようにして葉月を見る。
空を見上げる葉月の目から涙が今にもこぼれ落ちそうで、キラキラと輝いていて、不謹慎だけど綺麗だなと思う壱聖。
何かの衝動に突き動かされるように、葉月の手を引っ張り無理矢理立たせて歩き出す。
「先輩?!」
花火の音からどんどん離れていって、人も少なくなっていく。
自販機で2人分の飲み物を買って公園のベンチに座った。