こうするしかなかったんだ
第8章 突撃
壱聖は自分の家に帰る事にした。両親は不在だが、姉がいる。だから、一瞬ためらったが近所の目もあるし何より会いに来てくれた葉月を落ち着かせたかった。
「ただいま〜。葉月ちゃんどうぞ」
葉月は彼氏のおうちという状況に緊張がピークになる。ものすごく小さくて震える声でお邪魔しますと告げると、階段を駆け下りてくる足音が聞こえる。
「いちおかえり〜…」
階段を下りてきたその女性は目をまん丸にして驚いている。
「いち…。コンビニで女の子買ってきたの…?」
「アホか!この子は三浦葉月ちゃんで彼女でこのうるさいのは姉貴」
頭を下げる葉月。
「はぁ?!彼女?」
怒ってるんだろうか…葉月は不安になった途端、壱聖の姉に抱きしめられる。
「かわいい〜♡」
「おい、姉貴やめろって」
壱聖がお姉さんを引き剥がす。
「自宅に連れ込むなんてヤラシイな〜いちは」
「あ!違うんです…私が突然来てしまって…すみません…」
「かわいすぎる!」
「もう良いだろ。葉月ちゃん部屋行こう」
「は、はい!お姉さん、失礼します」
ぺこりと頭を下げて壱聖の後を歩いて階段を登り、初めての彼氏の部屋へ足を踏み入れた。