こうするしかなかったんだ
第2章 入学式
私の家族はお母さんしかいない。
物心ついた時からお父さんはいなかった。
私が産まれたばかりの頃、病気で亡くなったらしい。
小さな仏壇には、小さな私を抱いた男の人の写真があって、それがお父さんなんだ。
それと、2人の若い頃の写真もあって仲の良さが分かる。
子供心に両親が愛し合って産まれたことを嬉しく思っていた。
だけどやっぱりお父さんがいないのが寂しかった。
それでもお母さんはそれこそ本当に太陽のように、熱くて暖かくて優しくて。だから寂しさも忘れられた。
そんなお母さんがいたから、友達が必要なかったのかなとも思う。
って…こんなこと考えてると泣いちゃうし!
つないだ手をブンブン振り回してごまかしてたんだけど。
四十肩だからやめて〜!ってお母さんに叫ばれて、泣きながら笑った。