こうするしかなかったんだ
第8章 突撃
お姉さんの部屋は頭部のマネキンが大量にあって、異様な光景だった。
それを隅の方に追いやり、座る場所を作ってくれるのは良いけど、マネキンが集まってる姿がまた異様だった。
美容師さんなんだな、と聞かなくても解釈する葉月。
「ごめんね、急で」
壱聖姉は申し訳なさそうにしている。
「全然!嬉しいです。」
「良かった〜。葉月ちゃん変身させていちを驚かしてやろうと思って!」
大きなメイクボックスから、色とりどりのメイクどうぐが出てくる。
その光景はお化粧をあんまりしたことのない女子には刺激的で、でもキラキラしていてワクワクしていた。
壱聖姉は葉月をジッと見つめていたかと思うと、ブラシを取り出し葉月のメイクを始めた。
新しい自分に出会えるドキドキ感でいっぱいで、もちろん不安もあるけど、感動したくて鏡が見られないようにずっと目を閉じていた。