こうするしかなかったんだ
第8章 突撃
「葉月ちゃん、怪我はしてない?」
「はい」
「良かった。」
「すみません…」
壱聖姉の言葉が刺さる。
「いち、どこ行ったんだろうね?」
壱聖姉が笑顔を見せてくれたことで少し安心する葉月。そして、反省もした。
土壇場になるとなぜか逃げてしまう自分に嫌気がさす。向き合えない弱さに情けなくてガッカリする。誰かを好きになると見なくて良かった自分が次から次に現れる。悲しいのに怒りが勝って涙すら流せない。
「あ、いち!」
壱聖姉が大きく手を振ると、遠くから駆けてくる足音が聞こえてだんだんと近づいてくる。