こうするしかなかったんだ
第9章 誤算
「じゃ、練習してみたら?」
「練習?」
「私と付き合う練習して慣れるの。初めてじゃ引っ張ってくなんて無理でしょ」
奏太は姫葵の言葉を素直に受け止めている様子。
「具体的には?」
「そんなの…色々あるでしょ」
姫葵は奏太の手に自分の手を絡めた。
「こういうことしたり…ね?」
奏太は黙って頷く。
「この後どうする?私の家来る?」
「え、大丈夫なの?」
「うん、だれもいないしね」
早々にカフェを後にして姫葵の自宅へ向かった。
そこにはもう葉月への罪悪感なんて誰も持ち合わせてはいなかった。