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キミのとなり

第10章 幼馴染み

うっとり目を閉じそうになって、でも胸の奥の方でズキズキ鈍い痛みが走る。なんだか凄く悲しい気分になってマサキを突き飛ばした。

尻もちをついたような姿勢でパチクリと黒目の多い瞳をこちらへ向けた。

「…ゴメン…。」

「…ゴメン、俺…あのさ、カズ?」

「……」

咄嗟に顔を背けた。
マサキの顔、見れない。

どうして そんなことするの?
からかってる?
ちょっとふざけただけ?
なんだよ、それ。
俺の気持ちはどうしてくれるの?

マサキもマサキで俺から突き飛ばされてショックだったのか視界の隅で肩を落としてるのがわかる。

どれくらいそうしていただろう。

「カズ…俺、帰るから。」

「…あ…うん。」

マサキの後ろ姿を見送って最後に

「ごめんね…」

と小さな声で言って出て行くのを結局、最後まで見ることは出来なかった。

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