秘密の兄妹 2
第1章 狂った宴
お兄ちゃんは私の顔をじっと見つめると「そうだな…」と前置きして答える。
「…髪はショートで性格は母さんみたいにサバサバしてて、男友達みたいに気さくに付き合える女…。
あと…すぐに泣いたりしないで、精神的に自立してると尚いい。」
お兄ちゃんが紡ぎだしていく好きなタイプの女の子の特徴を聞いて、私は顔を曇らせていく。
「…私、お兄ちゃんの琴線に一つも触れてない…
むしろ真逆……」
胸が締め付けれるように痛む…
私は泣きそうになるのを必死にこらえ、お兄ちゃんの胸に顔を押し付けて声を絞り出す。
「こんな妹でごめんなさい……
面倒くさい妹でごめんなさい……」
私はお兄ちゃんにとって本当に都合のいい性欲処理のオモチャでしかないんだ…
私に優しくしてくれるのは、責任と同情からだ…
改めてその事実を目の前に突き付けられて、辛くて、悲しくて、寂しくて…大声で泣き出してしまいそうになる。
私ばかりが、こんなにもお兄ちゃんのことが好きで…
好きで
大好きで
…苦しい…
もしここで涙を流したら、その悲しみの涙で溺れてしまいそうだ…
そして、その勢いでお兄ちゃんに私の気持ちを全て打ち明けてしまったら、この身体だけの関係すらも永遠に絶たれてしまう。
だから…泣いちゃいけない
耐えなきゃ…
耐えなきゃ
「…………」
お兄ちゃんは私の震える背中を何も言わずに、ただ黙って撫で続けてくれた。