秘密の兄妹 2
第1章 狂った宴
「…………」
お兄ちゃんはそのまま私の長い髪を指で絡めると、目を細める。
「…お前の髪は真っ直ぐだな…
お前の性格と同じだ……」
「この髪はお母さんに似たんだよ…
お母さんも直毛で真っ直ぐだし。
…お兄ちゃんは猫っ毛でお父さんに似たね…」
私もお兄ちゃんの髪に触れ、くすっと笑う。
「…性格は紫織が父さん似で、俺が母さん似なのにな……」
「お母さん、サバサバしててさっぱりした性格だもんね。
お父さんは娘の私には甘くて、けっこう心配性…」
そう言い終えると、私は一瞬黙る。
「……あの2人、何で上手くいかないんだろう…
お互い好きで結婚したはずなのに……」
「…………」
何も言わないお兄ちゃんに、私は躊躇いがちに尋ねる。
「あの…お兄ちゃん、ひとつ聞いてもいい…?」
「何?」
お兄ちゃんは私の髪の毛を指先でくるくると絡めて遊んでいる。
「…美加さんを始め、お兄ちゃんが歴代相手にしてきた女の人たちなんだけど……
その、何ていうか…見た感じ、みんな全然違うタイプで…お兄ちゃんのタイプの女の子が良く分からなくて……
外見じゃなくて、性格や中身に何か共通点とかあるのかな…って思ったんだけど、どうなのかな…」
私は聞きにくいけど、すごく気になっていたことを口にしてみた。
「……性格とか良く分かんねぇ。
…でも、共通点はある…」
お兄ちゃんは私の髪から手を離し、私の頬にそっと触れる。
「…けど、お前は知らなくていい…
紫織には関係ないし、もう終わったことだ。」
「…そうだね…」
私はしばらく俯いてから、再び瞳をお兄ちゃんに向ける。
「…じゃあ、お兄ちゃんの好きなタイプってどんな子…?」