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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第3章 ブラックコーヒー【和也】

「和也…。」

「何ですか、弁当とられて怒ってるんデスか? 忘れて行った○○が悪いんデスヨ。」

和也は、ソファに座ってテレビを見ながら言った。

「何も、言われなかったの…?」

和也は、テレビから顔をこちらに向けると、ちょっと眉を下げて小首をかしげた。

「堂々と食べてりゃ、案外誰も何も言いませんよ。それに、ワタシが昼に何を食べようと、ワタシの勝手ですからネ。」

私は、涙があふれてくるのを止めることができなかった。

「ふぇ〜、かずなり〜。」

私は、和也の首に腕を回して抱きついた。

「何ですか、やっぱり怒ってるんデスか? 食い物の恨みは恐ろしいデスね。」

和也はそう言って、私の頭をポンポンとたたいた。

無理だと思っていたんだ。

普通の恋人のように手作り弁当を彼に持たせるなんて、無理だと思っていた。

なのに和也は、そんな私の“無理”を軽々と飛び越えた。

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