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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第4章 モーニングセット【翔】

ランチタイムを終えると、私は店を父に任せ帰宅する。

数年前に母が亡くなってから、私がずっと父の喫茶店を手伝っている。

コーヒーやドリンクは父がひとりで大丈夫だが、モーニングやランチはずっと母の役目だった。

私は長女ということもあって、昔から店はよく手伝っていた。

だから母の死後、私が店を手伝うのはごく自然ななりゆきだった。

私は、マグカップにカフェオレを淹れると、テレビをつけた。

平日の午後の情報番組。

私がホッとひと息つく時間だ。

新しくオープンしたレジャー施設やショップの情報がにぎやかに紹介される。

行くあてもないそれらの場所のレポートを、私はぼんやりながめる。

番組はCMへと切りかわり、シャンプーのCMが流れた。

女性向けのシャンプーのCMに、ベビーフェイスの美しい顔立ちの男性が登場する。

サラサラの栗色の髪。

クリクリの黒い瞳。

サクランボの唇。

低音の響く声。

私は、この人を知っている。

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