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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第7章 ビスケット【雅紀】

次の日出社すると、私のもとに相葉くんが駆けてきた。

雅「おはよ、〇〇さん。昨日は麻婆豆腐作った?」

相葉くんが、満面の笑みで私に問いかけた。

◯「そ、そんな、作るわけないじゃない!」

私は、咄嗟にそう言ってしまった。

相葉くんが言う通りに、素直に麻婆豆腐を作ったことが、なんだか気恥ずかしかったのだ。

雅「なーんだ、残念!」

相葉くんはそう言うと、ひゃっひゃっと明るく笑った。

その笑顔に、嘘をついた罪悪感なんてどこかに行って、私も一緒になって笑った。

ササキ「麻婆豆腐がどうしたって?」

ベテランのパートのササキさんが、私と相葉くんの間に割って入った。

雅「昨日、〇〇さんが晩ご飯のメニューに困ってたから、俺が麻婆豆腐にしたらって言ったんだよ!」

ササキ「ふーん。」

ササキさんは、私と相葉くんを交互にジロリと見た。

ササキ「もう始業時間過ぎてるんだけど?」

雅「あっ、ホントだ、ごめんね! 俺、行かなくちゃ!」

相葉くんはそう言うと、バタバタと事務室を出て行った。

ササキ「〇〇さん、浮かれておしゃべりに夢中になって、仕事残して帰らないでね。私が残業してやらなきゃいけないんだから!」

ササキさんは眼鏡を上げると、私をにらんでそう言った。

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