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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第7章 ビスケット【雅紀】

家に帰ると、サエとコータがテレビに夢中なのを確認して、あのビスケットを出した。

子供たちに隠れて、一枚食べた。

ビスケットは、噛むとほろりとくずれてた。

バターの香りと砂糖の甘みが口に広がった。

そして、表面にまぶされた塩が、ほんのりしょっぱかった。

◯「おいし…。」

なぜか、涙がぽろりとこぼれた。

ビスケットの残りに封をして、自分の通勤カバンにそっとしまった。

それから、餃子の餡を作ってひたすら包んだ。

今週は、麻婆豆腐に始まって、唐揚げ、八宝菜、あんかけ焼きそば、そして手作り餃子と、ずっと中華料理だった。

相葉くんの言ったままのメニューを作った。

サエ『なにゆえ、今週は中華ウイークなわけ?』

コータ『おかーさん、ちゅうかりょうりのコックさんになったの?』

夫『おいおい、俺を太らせて早死にさせる作戦か?』

家族は、口々に好きなことを言ったけど。

この一週間のことを思い出しながら、黙々と餃子を包んだ。

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