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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第9章 コッペパン【和也】

二宮「俺が魔法使いかどうか、実際に確認してみる?」

二宮さんが私の腕をつかんだ。

私の顔をのぞき込むその琥珀色の瞳は、魔法使いというより悪魔のようだった。

さっきの、おそろしいほどの色気をたたえた瞳だった。

◯「いえ、結構です! 大丈夫です!」

私は必死に抵抗したが、二宮さんは手を離さなかった。

二宮「いいじゃんよ。俺はいつでもオッケーだぜ?」

そう言って私の耳に口を寄せ、熱い息を吹きかけた。

◯「ひゃっ!」

私はたまらなくなって、二宮さんの手を思い切り振りほどいた。

◯「セ、セクハラです!」

二宮「なんだよ、あんたこそ俺のこと〝30童貞〟だとか言ってきて。そっちこそセクハラじゃん! あんたは面と向かって〝処女ですか?〟なんて聞かれたらどう答えんのさ!」

◯「うっ…。」

二宮さんの言う通りだった。

私は自分が情けなくて涙がこぼれてきた。

二宮「勘弁してくれよ…。」

二宮さんは天を仰いで額に手を当てた。

サキ「◯◯ー! えっ、何で泣いてんの?」

私の様子を見に来たサキが驚いて駆けよって来た。

サキ「さては、にのみー! ◯◯に何かしたでしょ!」

◯「サキ、二宮さんは悪くないのよ…!」

サキ「いいや、こいつに決まってる! ◯◯に何かひどいことしたんでしょ!」

サキは二宮さんのネクタイをつかんだ。

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