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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第11章 サイコロ

その音に驚いてバリスタが私を離したすきに、私は玄関のドアを開けた。

そこには、クリクリした目が印象的な男性が立っていた。

「すみません。こちらに顔の濃い男が来てませんか…? あ、お前、何してんだよ。部屋間違えてるよ!」

「あ、トーマ…。」

バリスタは、隣とうちを間違えてインターホンを鳴らしたのだった。

「エントランスのロック解除してから、お前全然来ないからもしかしてと思って。お前、本当に飲み過ぎ!」

トーマという隣人は私に平謝りして、バリスタを連れて行った。

私は、へなへなと座り込んだ。

「間違いない…。このサイコロは…。」

振った目に沿って、願ったものがあらわれるのだ。

私の場合は、私が心の中で素敵だと思っていた男性たち。

数字は、朝の出勤途中に会う順番。

1は、ベーカリーの店主。

2は、駅員さん。

3は、コーヒーショップのバリスタ。

4は、会社の先輩。

5は、おそらくマジックバーのマスター。

「じゃあ、0は…?」

私は、奇妙な力のあるサイコロを手に入れてしまったおののきの反面、興奮していた。

これさえあれば、いつでも彼らに会うことができる、と…。

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