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第8章 かわいいひと〜秘密〜
あのまま。
俺が先生を押さなかったらどうなってたのかな。
さすがに先生が目覚めて“ごめんごめん”なんて謝りながら離れたのかな。
寝ぼけたままキスを続けてたら啄むキスの次は深いキスをしてたんだろうか。
舌を絡ませたら。
……
考えても仕方ない事を考えては顔を赤らめて。
あの時。
布団から出るのも嫌だったのを覚えてる。
なんでかわからないけど、俺は先生のキスも触れられた体も心地よかったんだ。
ピンポーン
「はーい。」
ドアを開けた先生。
「お、どした?」
「あ、母ちゃんが先生に、って。
こないだはお世話になりました、ってー。」
お菓子らしき物を先生に渡すように言われたから。
「本当は母ちゃんが来るべきだけど遅くなるのもいけないから、って言ってた。」
「そっか。わざわざありがとう、ってお母さんに伝えて?」
先生は俺なんかに頭を下げてそれを受け取る。
「じゃあね、先生。」
「おう。またな。さんきゅ。」