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第10章 かわいいひと〜彼女〜



文化祭はそれなりに盛り上がって楽しかった。

クラスの店も自分に割り当てられた時間は接客や片付けをして、それが終わったら彼女と学校をまわった。



放課後、教室を元に戻したり大きいゴミを運んだりしてふと頭に浮かんだ顔の人はいるかな、と足を向ける。

…会えなくてもいいやって。

その人は何か書き物をしていた体を反転させて、お疲れ、って言う。

「楽しかったか?青春まっさかりだな。」

「まあね。普通の授業よりは遥かに楽しいよ。」

「文化祭もだけど、楽しい男女交際も、ね。」



「可愛い彼女だね。」



見られたんだ。

可愛いと彼女を褒められても、自慢するでもノロケるでもなく。

「見られちゃった…か…」

それだけしか言葉は出ない。


見られたくなかった…のかも。

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