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第13章 かわいいひと〜クリスマス〜
彼女に別れ話をするために呼び出したカフェ。
とっくに帰って行った彼女とは違って俺はまだその店にいた。
目の前にはひと口しか口をつけなかった冷めたコーヒー。
彼女は泣いてもいなかったし、怒ってもいなかった。
でも悲しそうに笑ってた。
「いつ言われるかと思ってた。」
「好きな人ができたの、わかってたよ。」
俺の中に他の人がいることをわかってたなんて。
自分から別れを切り出そうとも思ったけどなかなか言えなかったと。
愛されてないのがわかって虚しくなったけどそれでもそばにいたかった、って。
心変わり、浮ついた思いが落ち着いてまた前みたいに戻れるかもしれないとかすかな期待もしてた、って。
俺のことでこんなに悲しませて悩ませて悪かったと心から思った。
俺に何を言われても腹ただしいと思うけど、ごめんね、と頭を下げたら、
もういいよ、
それに謝まられることでもないって思うしね、
そう言ってくれた。