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第30章 かわいいひと〜すれ違い〜



そんな幸せな週末を過ごしていた。



最初の半年くらいまでは。



やっぱり…というのは癪なんだけど。

お互いのスケジュールが合わなかったり、平日の忙しさからの疲れで行けないことが多くなった。

ひと月に一度の約束が守れなくなって、それに胸を痛めることもなくなって。


どんどん会えない日が続いた。


こういうのは一度崩れるとダメになるってわかった。


思えば…


月初めの週末に帰れなかった日。


『ごめんね。』


すごく申し訳なく思って、どうしても小さくなってしまう声。

電話の向こうの様子を推し量る。

先生は何拍か置いて…
明るめの声が耳に入ってきた。


『そっか。しょうがないよ。』


尚も謝り続ける俺に『大丈夫』と『仕方ない』を繰り返す。

あの時の先生の気持ちをもっと気遣うべきだった。


絶対に寂しかったんだから。

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