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第30章 かわいいひと〜すれ違い〜






ヤバい?


とっさに携帯を耳にあてたまま玄関の方へ向いて、しーっ!って仕草で制してみたけど相手は酔っ払い。

「なんだ?電話か?彼女かぁ?」

もーうるさい!

「相葉くん、ごめんね!」

彼女さんも声が大きいってば。


「もしもし?和也?」


「……。」


「あれ?
もしもし?

かず…」


またしても小さい声がかろうじて聞こえた。


「あ…

なんかごめん。

またかける。」


え?


「な、なんで?
ごめん、ごちゃごちゃしてて。
でも大丈夫だよ!」


俺も明日帰るからって言いたかったから切りたくなくて慌てて話すけど、無情にも耳に届いたのは、ツー、ツー、って電話の切れた音。


……


少し放心状態な俺は携帯片手に立ち尽くしてしまった。

頭の中でこの後のことを組み立て直す。

みんなが帰ったらかけ直す…

そう。

それだけのこと。

でも…

なんでかわからないけど嫌な予感がする。

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