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Everything

第31章 かわいいひと〜知らない世界〜



「お、きたか。」

「お邪魔します。」

「なんだそれ。」

いつもは言わない俺の言葉に笑いながら俺を部屋の中に招き入れた大野さん。

すっかり寝る前ってくつろいだ格好でいたのを見て申し訳なく思った。

「俺さ、財布持たないで出てきて。手ぶらで来ちゃって。」

途端に怪訝な顔をして俺を見て、

「手ぶらは全然いいけどね、
そんな慌てて出て来たの?」

とツッコむ。

俺は俺で、

「うん。
ちょっと外の風にあたろうと思って。」

と強がってみた。

「ま、座れ。ビール飲む?」

「飲みたい。」

冷蔵庫から取り出したビールを、缶のままでいいかと訊きながら俺が座った前のテーブルにコトンと置いた。

「散歩?こんな時間に?」


聞くよ…


そう言ってくれてるのがわかるから、さっきのことをポツポツと話し始めた俺。

誰かに聞いてもらうのは恥ずかしいけど落ち着いていく。

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