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第5章 その先へ

どうしていいのかわからなくて。

しばらく空を見上げたり、マンションの中を伺ったり、来た道の方を見たり。

ふと。

頭に浮かんだその人に頭で考えないで電話を繋げてみた。

何回かのコールを待って繋がった先の声に安堵する。

「和?どうした?」

耳に届いた安心する声に少し心が和らいだのがわかった。

「翔ちゃん。」

「ん?」

すーっと深呼吸する。

「翔ちゃん。頑張れって言ってみて。」

……

「がんばれ。」

ありがとう。

「和?」

「うん?」

「大丈夫?」

「うん。」

俺のわけのわからない電話に翔ちゃんはなんにも言わずに付き合ってくれる。

「頑張れ。大丈夫だよ。」

もう一つの言葉も。

「ありがとう。」

俺は“がんばる”と“大丈夫”の言葉を頭の中で繰り返し、翔ちゃんに、今度ちゃんと話すから、って言って電話を切った。

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