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異彩ノ雫

第87章 恋文 (三)





心からあなたへ呼びかけます



愛しています
苦しいほどに…


けれどあなたの元へはゆかれません
お許しください
あなたの想いにお応えすることは
叶わないのです
何故なら…
ああ、それはもうお分かりですわね

それでも
運命を呪うことだけはいたしますまい
あなたと出逢えた運命まで疎むなど
考えもつかないことですもの


ほんのわずかの間
あなたと生きる未来を描くという
幸せな夢を持てたことが
これから歩く私の道に
明かりを灯してくれるでしょう

どうぞ私のことなど忘れて新しい道を、




いいえ いいえ!
決してお忘れにはならないでください!
私をあなたのお心の片隅にいさせてください!
どうか せめて…




もう 時間がありません

あなたへ
私の愛のすべてを捧げます

祈りとともに…







(了)


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