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異彩ノ雫

第90章  四ノ月 ④




丘の上に花の時間が流れてゆく
私は小さなテーブルにクロスをかける

食前酒には
花びらを浮かべたキールをひとつ
とっておきのシャンパンを抜いて
春を祝おう
ワインも山ほど用意した

そろそろキッシュが焼きあがる…

そっと背伸びをする先に
あなたが手を振り
丘への道を
あがってくるのが見える

私はもう 待ちきれず
グラスを持ったそのままに
駆け出してしまう

風を追い抜き
愛するあなたの元へまっすぐに…







【抱擁】




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